灰まみれ

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「エルシーお姉さま。」 「なあにルピア。」 「この国ってものすごい格差主義だったんだね。」 パーティ―客の視線が私に集まった。エルシーお姉さまは飲んでいたカクテルを吹き出しそうになった。  その刹那、私は今までいた人の輪から逃げ出す。このタイミングは実に重要だ。遅いと捕まるし速いと何か余計なことを言いそうだと感づかれてやっぱり捕まってしまう。  少し離れればお姉さまは人の目を気にして、追いかけてまで怒鳴ろうとはしない。  舞踏会に心が躍ったのは初めの3分間だけだった。  舞踏会の会場はいくつもの部屋に分かれていた。お母様たちは最初のほうに通った部屋では止まらず、4番目の部屋で止まった。  馬鹿な私でも通った部屋の違いは分かった。奥に行けば行くほど、部屋の内装や出されてる料理、客が着ているドレスやタキシードが豪華になっていくのだ。  私が仕えるノンドミア家は名家ではあるが、そこまでお金持ちでもないので、この調子でいくとこの奥にさらに豪華な部屋がいくつも続いているのだろう。良く考えたら戦争中だってのにこんな浮かれたイベント、頭がおかしい。  そんなわけで、私はそんな格差社会的舞踏会に嫌気がさし、会場からの脱出を試みることにした。    
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