灰まみれ

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あれから1か月。ノンドミア家は見る間に没落していった。お母様が反逆罪で逮捕されたことはいろんな人に知れ渡ってしまい、結果お姉さまたちまで職を失ってしまった。私がこの家に来る前に亡くなったお父様の遺産がまだまだ残ってると言ったって限界がある。屋敷には重い空気が立ちこめていた。  庭の掃除をしていた私はため息をつく。夏の空には、もくもくの雲がそびえている。いやになるくらいの晴れの蒼。  使用人が次々とやめていた。自分から辞めた人もいるし、給料が払えないと言われて、辞めさせられた人もいる。  私はどうしようか。私は。私は自分一人で生きていけるだろうか。  わがままを言っても仕方ないよ。今まで給料をためてきたんだし、一人でいくらでも稼げるよ。なんなら自分で会社を作ってお姉さまたちを雇ってあげればいい。あの2人に、ルピア様と呼ばせてみようか。ふっふっふっふっふっ。  ・・・・・・・。  お母様が帰ってこない保証はない。明日にでも戻ってくるよ。そしたらこの夢物語は実現できないな、うん。 「ここにいたのルピア。」  慌てて振り向くとエルシーお姉さまがいた。ここ最近笑っているところを見てないけど、今は特別疲弊した顔だった。今、お姉さまたちは忙しくて、普通、私にかまっている暇はない。  胸の真ん中が一気に息を吐き出したような、あきらめと少しの安堵の気持ちになった。 「話があるの。部屋に入りましょう。」
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