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ホテルというのはなんと泊まる人1人1人(グループの場合もある)に部屋を用意するらしい。それでこんな建物が大きいのかと納得する。しかし1泊するのに私のノンドミア家で働いてた時の月収の3分の1のお金が必要と聞き、気が遠くなる。
「そ、そんなお金を払ってお客さんは大丈夫なんですか。」
「大丈夫だと思いますよ。ルピアさんの月収が大変に少なかっただけです。」
「やっぱり少ないですよね。抗議すればよかったかも。」
「衣食住が保証されてるならいいと思います。だいたいそこまで生活が保障されていたということは、あなたは使用人ではなく養女として扱われていたのでは。」
「・・・違うと思います。そんなこと言われたことないので。」
そんな会話をはさみながら、ナナさんに仕事を教わっていく。ナナさんはやっぱり厳しかったけど、どこかやさしい雰囲気もあることに気づいた。お母様に近い雰囲気だと思った。
今はお客さんが泊まっていない客室でシーツの取り換えを教わっていた。まあこういうことは今までもたまにやっていたので、そこまで苦労はしない。
「やっぱりルピアさんは手際がいいですね。1日かかるとふんでいましたが大丈夫そうです。」
「いやーあたっり前じゃないですかー」
「あ、ちゃんとそこしわ伸ばして」
「・・・はい」
そこからロビーに移って掃除。ここで難関がやってくる。
「ナナさんこの透明なケースは何ですか?邪魔ですのでどかしますか?」
ナナさんは慌てたようにひとさし指を口に当てた。
「それは著名な芸術家のアリュスムーニ様の作品です。手を触れないで。1000億ウィンドします。」
顎が外れそうになる。私が一生働いても稼げない値段だ。
「こ、このガラスケースが!?」
「違います。その中の茶色い器です」
「お、おっす」
みなさん、私のこと馬鹿だと思いますか?
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