同居人

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 悪いことの後にはいいことがあるっていうのは、嘘だと思う。  アルソンさんたちの会話を聞いてしまった事件からしばらくたった。  まだだれかがクビになったという話は聞かない。  私は、特に何もなかったというように、日々を過ごしていた。ノンドミア家でもこんなんだった。  自分が嫌いだ。 「ルピアさん、ロビーの掃除をしてきて」  ナナさんにそう言われたので、ロビーに行って掃き掃除を始めた。  ロビーに設置されてるテレビの音が聞こえる。ニュースをやっているみたいだ。 『サルリベルノ陸軍はネルー半島での戦いでザッツェン国軍8万兵中5万兵を壊滅に追い込みました。我が軍は3万兵中壊滅を2万5000兵にとどめました。ネルー半島は奪われましたが、大国ザッツェンを相手に素晴らしい戦いを見せ、大打撃を与えました』  つまり負けたということか。決していいことではないだろう。自然と私の眉には力が入るけど、反対にテレビの中の女子アナは微笑んでいる。見ている現実はアンバランスだった。 『次のニュースです』  急に彼女の声が暗くなる。私はそのことに興味を覚える。 『国へ反逆罪を起こした、』  反逆罪! お母様に関係があるかもしれないと思い、テレビに注意を向ける。 『22歳のミーシャ・ノンドミアと20歳のエルシー・ノンドミアが死亡しました。2人は2日前、ベンジャール王を銃で襲撃し、その際、軍と銃撃戦となり、重体になっていましたが、今朝、死亡しました。彼女たちの母親のツェザ・ノンドミアは、先日、反逆罪にて処刑されており、政府はそれとの関係を調べています。』 「……っ!?」  栓をしなくちゃいけない。    
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