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同居人
部屋に入った瞬間に、2人の金髪の女の子が私の目の前に飛んできた。
「初めまして、アリア・モンタナです。お勤めご苦労様でっす!」
「私はサヤン・モンタナです。アリアの双子の姉です。お茶でもお出ししましょうか?」
その2人はあっけにとられている私の手を引っ張って、ちゃぶ台の前のクッションに座らせた。さらに異常ともいえるスピードでお茶を出してくる。
「どうぞ!」
私はとりあえずお礼を言った。
「あの、ありがとうございます。ルピアです。よろしくお願いします。」
少し頭を下げるとアリアさんとサヤンさんはパニックに陥った。
「いやああああ。私たちになんかに頭を下げないでください。」
「そうです。私たちはど田舎生まれのど貧乏人なんです。何なら召使として扱ってください。」
「え、えええええ。」
私も彼女たちと同じようにパニック状態に陥った。
「そ、そんな自分を卑下しなくても。わ、私なんかど貧乏だし、馬鹿だし、ドジだし、髪の毛はお2人のようなブロンドじゃなくて、茶色だし、童顔って言われるし、ネットは荒れるし、犬のウンチは踏むし、ひらがなさえ間違えるんですっ」
部屋がいきなり静かになった。アリアさんとサヤンさんは口をポカンと開けている。やがて2人そろって、ひっくり返って笑い始めた。
「アハハハハ。ルピアちゃんって面白い子!」
「普通そこまで自分の悪口はポンポン出てこないってー」
「い、いぬのウンチー」
「童顔って、童顔って」
そこまで笑われると恥ずかしくなってくる。ていうか、この人たち何なんだ。
「そろそろ笑うのやめてください。」
「あーうんうん」
「あーうんこうんこ」
頭が痛くなってきた。ホントに何なんだ。
起き上がったアリアさんが口を開く。きれいなブロンドがぼさぼさになっていた。
「ごめんね。いや、悪気はないんだ。あと敬語じゃなくていいよ。それに呼び捨てでいいよ。私たちもそうするから。」
サヤンさん・・・サヤンがうなずいている。
「ここの3人同い年くらいだもんね。」
私も少し笑って言った。
「わかった。これからよろしくね。」
「うん。」
それからアリアは遠慮がちにこちらを見つめてきた。
「あのさ、実は今私たちピンチ何だよね。先月まで2人で家賃払ってたから。だからさ・・・しばらく3人分の家賃払ってくれない?」
ずっこけた。さっきの茶番の目的はこれか。
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