第1章

5/5
前へ
/5ページ
次へ
「おにいさん、ありがとうね…」 「へ?」 「息子は10歳の時に死んだの。偶然にも今日は月命日で、息子が還ってきたのかと思ったわ。だから、もし生きて成長して大人になったら?って想像しちゃったのよ。こんな声になったのかしら、どんな仕事をしているのかしらって。嬉しかったわ、一時でも大人になった息子と親子の会話ができたみたいで。それがオレオレ詐欺だったとしてもね。ありがとうね。さようなら。」 あれから、私は電話がかかってくるのを秘かに心待ちにするようになった。 再び母親の気分を味わうために… 「もしもし?母さん?俺だけど…」 了
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加