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「おにいさん、ありがとうね…」
「へ?」
「息子は10歳の時に死んだの。偶然にも今日は月命日で、息子が還ってきたのかと思ったわ。だから、もし生きて成長して大人になったら?って想像しちゃったのよ。こんな声になったのかしら、どんな仕事をしているのかしらって。嬉しかったわ、一時でも大人になった息子と親子の会話ができたみたいで。それがオレオレ詐欺だったとしてもね。ありがとうね。さようなら。」
あれから、私は電話がかかってくるのを秘かに心待ちにするようになった。
再び母親の気分を味わうために…
「もしもし?母さん?俺だけど…」
了
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