群青2 モノクロ第5話

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「あはは。そうですねぇ」なんて黒縁眼鏡を上げて笑って誤魔化してはみたものの、あながち外れていないから困る。 佐藤に取られる筈はないが、もし他の誰かに取られたら『惜しむ』だろうと思う。 「手当り次第手をつけろ。とは言わないが、大事なものはひとつくらい手元に残しておけよ」 そう言うと、ふと俺から視線を外し「ただ」と続ける彼を見た。 「やり方は間違えるな」 少しだけ低くなった声。 本当はまだ後悔してるんじゃないかと思った。 「……そうですね」 だからこそ、彼の言葉が深く、重く、俺の胸に突き刺さる。 「いい恋しろよ」 「善処します」
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