ボーダーレスな確率

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院長はM氏の言葉を無視するかのように続けた。 「腸には小さなポリープが見つかりました。今はまだ大丈夫ですが、これが大きくなると悪性の腫瘍になる可能性も否定出来ません。可能性は、えっと何万・・・」 M氏は院長の言葉を制して、先を続けさせた。 「分かりました。他の結果をお願いします」 「肝臓と腎臓にも問題が。それに血液にも異常を示す数値が・・・」 「それらは放っておくといけないんですか?」 「今はまだ大丈夫ですが、今後はどうなるか。あくまで可能性の話ですが」 「そうですか」 M氏はうんざりしたように病院を出た。 気が付くと院長から貰った検査結果の表を手に持っていたが、それを破り捨てごみ箱に捨てた。 「もうやめた。こんな検査、真に受けていたら身がもたない」
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