きくお

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きくおはある夫婦のもとに生まれた。 夫婦にとっては待望の赤ん坊だったため、それはそれは可愛がられた。 赤ん坊とは、すなわちかわいいこと。 何よりも笑顔が素晴らしい。 その笑顔を見せれば、仕事の疲れだって吹っ飛び夫婦げんかもすぐに仲直りとなる。 きくおはまさに理想の赤ん坊だった。 いつも笑顔で、わがままを言っても一度注意されればすぐに聞いた。 父親や母親の言うことをよく聞いた。 そのくらいの年齢にしては物わかりが妙に良かった。 それは夫婦が望んだことだった。 産まれてくる赤ん坊のDNAを操作したのだった。 わがままな子供は欲しくない。 科学の力は夫婦の望みさえも叶えることが出来た。
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