第1章

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桜が散りゆく、夏とも春とも言えないこの季節。 私の家によく遊びに来るネコは今日は家の前で寝ていた。 私はそのネコを撫でながら休日をどう過ごそうか悩んでいた。 「お前は気ままだな~。」 なんて呟いているとどこからとなく声をかけられる。 「あの……そのネコ……」 振り返るとそこには高校生くらいの少女が立っていた。 「ネコ?……この子?」 私は目の前で気持ちよさそうに眠るネコを指さした。 「はい!家の喫茶店のネコなんです!」 「あ。そうだったの。」 私は「よく家に来るの。」と付け足した。 すると彼女は丁寧にお辞儀をして「すみません。ご迷惑を。」と謝る。 「いえいえ。私も暇なので。」 「いい遊び相手なんですよ。」とネコを撫でる。 彼女は「でしたらウチに遊びに来てください!」そう言って何故かつけっぱなしのエプロンの名札を掲げる。 その名札には『喫茶ライラック』と彼女の名前が記されていた。 私はすることもないしと、頷く。 そうすると彼女はニコリと笑って「マスターも喜びます!」と言った。 私が彼に会うまであともう少し。
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