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その後、子どもは2人恵まれた。どちらも可愛く、妻に似た娘で、将来嫁にやるのが嫌だ、と本気で思うくらいだった。そんなことを妻に話したら、妻が嫁の貰い手が無かったら、あなたが心配しますよ。と笑った。
……よく私の事が解っているな、と苦笑した。嫁にはやりたくないけれど、嫁の貰い手が居ないのもきっと心配するだろう。
だが、娘達が幸せなら、嫁に行かなくてもいい、と思う気持ちも嘘じゃなかった。なんにせよ、数十年は先の話ですよ、と妻が笑うから、私もそうだな。と頷いた。その時にならないと解らないものだ。
娘達を育てた時代は、きちんと収入もあり、高校まで出してやる事が出来た。2人とも家から通える範囲で仕事先が決まったのだ。上の娘は、今で言うデパートのインフォメーション係で、下の娘は、今で言うOLだ。事務職だった。
夫婦ゲンカも親子ゲンカも姉妹ゲンカも有ったけれど、必ず皆で朝食を食べる習慣が、ケンカを長続きさせなかった。娘達が高校を卒業するまでは、年に2回の家族旅行と、お正月には妻の実家にお邪魔するのが、楽しみだった。
娘達が卒業すると、家族旅行は年に1回と減ってしまい、お正月もあまり長居をする事がなくなった。
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