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例えば、ある年頃の娘は、父親の下着と一緒に洗濯をしないで、と母親に頼む。とか。ある年頃の娘は、夜遊びを父親に叱られたら、家出をして、逆に父親に謝らせた。とか。タバコを吸おうとすれば、外で吸うように言われる。とか。
なんとも切ない話ばかりだ。
そんな話を聞けば、確かに、私の家は良い父と娘の関係を築いていたのだと思う。それでも、我が家は波風が立たなかったわけでは無いし、娘達が非行に走りそうになった時は、強く叱りつけもした。それによって、更なる反発を招いた事もある。
あの時は、妻が私の味方をしてくれた。普段は娘達の味方なのに。ここぞ、という時、味方をして夫を立ててくれる妻。本当に私には過ぎた女性だった。娘達も普段は自分達の味方をしてくれる母親が泣きながら、父親の味方についた事で、どれほど親を悲しませたか解ってくれたらしい。
それ以降は、落ち着いてくれた。
そんなことも結婚式の後の披露宴では思い出していた。おそらく、万感の思いとは、こういうことを言うのだろう。と客観的に考えていたが、本当は客観的に考えていなければ、人目も憚らず、泣いていたに違いなかった。
エッセイを書きながら、私は自分の人生を振り返る。
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