心のふるさと

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 「如何ですかな?」  私の家を訪ねてくれた編集者の佐藤さんに、原稿を見せていた。熱心に読んでくれている佐藤さんの為に、緑茶を淹れて茶菓子の饅頭を出す。酒饅頭……よく言う、さかまん。  40代という働き盛りの佐藤さんは、この酒饅頭を気に入っているようで、佐藤さんが来てくれる日は、近所の和菓子屋さんで必ず買っておく。酒好きだから、酒饅頭も気に入っているのかは、定かではないけれど。  佐藤さんは、一言も発さず原稿を見入っている。佐藤さんの出版社とは長い付き合いだし、佐藤さんとも長い付き合いだ。それこそ歯に衣着せない物言いが、佐藤さんの長所だと思っている。
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