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臘梅・寒椿・紅白梅から始まり、桜・菜の花・桃・蒲公英・蓮花・と花々が咲き乱れる春。
芽吹く花々が生命の躍動感を思わずにはいられない。風が柔らかく暖かくなり降り注ぐ陽光も穏やかで、やがて新緑が目に眩しくなって、気持ちが清々しくなる。
春が、引っ越しや新入生や新入社員の季節というのも理解出来る風景が、そこにある。
何か新しい事をこの年になっても始めたくなるのだから。
そんな思いを筆に乗せて私は、約束の日本の四季を描き出す。春から始まり冬で終わる予定で、春について執筆を始めた。
そういえば。妻と見合いをしたのも、桜と菜の花が競演を果たした春だった、と思い出す。私は25歳。妻は20歳。確か私に見合い話を持って来た伯母の家で見合いをした。お互い、緊張していて、伯母の言葉に軽く頷くだけで精一杯だった。
俯いた妻の白い額だけが印象深い。
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