第15章 引き続き、拝島くんとわたし

15/15
前へ
/36ページ
次へ
そう。ずっと考えていた、どこかで。 俺は桐子と別れないためなら何だってする。以前彼女を失ったかもと半ば覚悟したあとにそう決めた。彼女を全部認めて、彼女を全て肯定する。そいつから離れられないならそいつごと引き受ける。それしか俺には道はないんだ。 桐子を否定しないって決めたんだから。できるはずだ。彼女が惹かれるもの、彼女が選んだものを俺も一緒に受け入れよう。 まだ見たこともない、顔も思い浮かべられないその男に向かって心の中で問いかける。 俺はどこまでだって行ける。桐子を手放さないためなら。今まで考えてもみなかった場所までだって行く覚悟だ。あんたはどうなんだ。ただ桐子の身体と惹きあうだけか。本能のままに衝動で動いているだけなのか。 桐子の全部を引き受ける覚悟があるのか。それを見せてもらおうじゃないか。 勿論、あんたがついてこられるように手加減するつもりなんかない。むしろ過激に、非常識に、出来たらここで勢いよく振り落として脱落させたいくらいの心算だ。ついてこられなかったらそれまでだ。その時点で潔く、彼女から降りてもらおう。 でも、あんたがもし心の底から彼女が欲しくて、どんな彼女も受け入れることができて、一緒に居続けるためにどんな条件でも飲む覚悟があったなら。 俺たちは桐子を分け合っていけるはずだ。二人で彼女を満たして、二人で彼女を守っていく。そういう方法を模索していける。 彼女を大切に思い、絶対に傷つけることのないもの同士なら。 …今までしたことのないやり方で桐子を愛していくことが可能になるはずなんだ…。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加