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「…その彼氏」
話を聞き終わった修介はさすがに唖然としていた。ようやくその口から言葉がこぼれ出る。
「ずいぶん、変わってるんだね。エキセントリックな人なの?」
「いやまぁ、それが。…どっちかって言うと固いっていうか。無口っていうか…、融通が利かなさそうってか…」
ごもごもと言い訳する。わたしも何て説明したらいいのかわかんない。拝島くんがあんなこと言う人だって全然予想もしてなかった。
修介は不思議そうに首を傾げる。
「固くて融通の利かない人の台詞じゃないよね。それぞれ曜日を決めて恋人を分け合おうなんてさ」
その言葉に少し胸が鳴る。…恋人、か。
恋人なんだ。修介も、拝島くんも。今までどちらもわたしにとって曖昧な存在だったのに、彼らがお互いを認めたことで、いきなり二人ともがわたしの恋人ってことになった。でも。
…いいのか?こんなこと。
そう心の片隅で不安に思いながらも、やっぱり修介と二人で会うなりしてしまう。週末彼と会うことは拝島くんも了承の上なので、これは浮気ではない。けど、話もそこそこに部屋に入るなり玄関で立ったまま身体を弄りあうなんて、こんな獣みたいなセックス…。
気が引けるって言えば引ける。
とにかくそのまま床に押し倒され思いを遂げあい、ようやく一息ついてからベッドに移りおもむろに拝島くんの話を伝える。さすがに修介もそんな内容は予想外だったらしく、腕組みをして思わずといった様子で唸った。
「じゃあさ。今ここで俺が君と会ってることも承知してるんだ、その人」
「そう」
修介の目は思案するように宙を彷徨った。
「彼は妬きもちはやかない人なの?」
「さぁ…、実はよくわかんない。嫉妬してるのは見たことがないけど。てか、本当にマジのポーカーフェイスで。この話をするまで彼がわたしのこと好きなのかどうかも知らなかったくらいだから」
そこで微かに頬が染まる。実は昨日、彼から告白を受けてから初めて身体を重ねる機会があったのだが、拝島くんがわたしの中に入ってきて激しく動きながら熱っぽい声で、
「あぁ…、好きだよ、とうこ。…好き…」
って初めて言ってくれたので、今までにないほど激しく感じてしまい、思わず彼にきつくしがみついて
「あっ、あたしも。…好きなの。…哲哉…」
と、自分でも信じられないほど甘い声で喘いでしまった…。
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