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拝島くんの目がわたしの目を捉えた。そこから視線が離せない。何故か。
「おいで」
わたしに向かって手をのべる。
ふらふらと立ち上がる。何だかわからないけど、彼の言うことを聞かなきゃいけない。彼の方に行かないと。
隣の椅子の修介が何か言いたげにこっちを見ている気がするが、そちらに目は向けない。修介と目線を合わせたら、多分我に返ってしまう。
拝島くんの隣に行ったわたしの手をとって、彼は優しく隣に座るよう促した。一緒に並んで長椅子にかける。これにどんな意味があるんだろう。と思い彼の顔を覗き込む。次の瞬間。
つ、と首をのばして彼がわたしの唇に自分の口を重ねた。押しのけるひまもない。驚愕のあまり思わずびくんとなる。すかさず彼がわたしの肩に腕を回し、引き寄せた。
「拝島さん、…何?どうしたの」
唇を振りほどくように逃れ、至近距離の彼の顔を見つめながら喘ぐように尋ねる。彼はわたしを腕にしっかりと抱き、耳許で掠れた声で囁く。
「…大丈夫。心配ないよ、桐子。…俺を信じろ」
…本当に?
拝島くんはわたしの顔を仰向けさせた。その目がじっと真剣な眼差しでわたしを見つめ、再び唇を寄せてきた。わたしは身を捩らせ思わずそれから逃れようとしたが、頭の後ろを押さえつけられまた捕まってしまった。長い、貪るような本気のキスに喘ぐ。
「拝島さん。…駄目、だってば。何で…、こんな」
彼を必死で押しのけ、訴える。修介の視線が痛い。勿論さっき、修介の目の前で構わず拝島くんの指示に従ってしまったが。
こんなことをされると思ってたわけじゃ…。
「大丈夫だよ、桐子」
拝島くんが耳許に口をつけて囁く。と思ったら耳に舌を這わされ、思わず短い声をあげた。
「あっ、…駄目」
「いつもしてることをしてるだけだよ。深く考える必要なんてない」
「でも、ここじゃ」
修介が見てる。…何で修介の前で、わざわざ?二人きりの時ならいいけど。敢えてここで…?
「俺たちの間でそういうことは気にする必要ないよ」
拝島くんが悪魔のように囁き続ける。
「修介くんもお前のことは知ってる、全部。こういう時お前がどうなるか。どんな風に反応するかも。いつもしてるし、見てるんだから。それと一緒だろ。恥ずかしがる必要なんかない。…もう全部、知られちゃってるんだから。俺にも、彼にも」
また激しくキス。胸元のボタンを外し、服の中に手を差し入れる。
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