いつか思い出になる今日の事

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仕事終わりに睦月くんとスマホでやり取りをする。 家に帰ってご飯を食べながらスマホを見ると、睦月くんからサークルの事が書かれていた。 睦月くんはイベントサークルに入っている。 イベントを企画して楽しむだけのサークルだって言ってた。 写真が添付されていたので見てみると、睦月くんは楽しそうにサークルメンバーと映っていた。 本当に楽しそうだな。 周りの人たちも可愛くて、そして男の子達もカッコいい。 同じくらいの年齢とは思えないな。 何となくモヤっとして、私は椅子から立ち上がった。 近くのスーパーでも行ってお酒でも買おう! 正直お酒は強くないけど、嫌なことを忘れるにはお酒が一番だ。 そう思い立って私はスーパーへ向かった。 適当にカゴにお酒を入れていく。 明日は休みだし、飲み過ぎても大丈夫。 そんな事を考えていると賑やかな集団がスーパーに入って来た。 大学生だろうか。 楽しそうに話している人達を見ていると、その中に睦月くんの姿を発見した。 睦月くん!? こんなお酒ばかり買ってる所見られたら恥ずかしくて死ねる!! 慌てて隠れようとしたけど、集団は私のいるお酒コーナーに真っ直ぐやって来た。 睦月くんと完全に目が合う。 逃げられなかった……。 何となく逃げようとすると、睦月くんの隣にいる女の子がクスッと笑った。 「あのおばさん、超お酒買ってるんだけど。ウケるー」 「流石に一人で飲むつもりじゃないでしょ。私らと同じで買い出しかもよ?」 「あの格好で?誰と飲むわけ?」 『おばさん』と言われた事もショックだけど、見透かされている事も恥ずかしくて。 私はその場から逃げ出した。 早く買って帰ろう。 そして全て忘れよう。 私には一緒に飲んでくれるような友達なんていないもん。 一人で飲むしかないんだから。 レジでお金を払って足早にマンションまで向かう。 あの人達は私とは違う世界の住人。 気にするだけ無駄。 ため息をついて扉を開けようとすると、横から凄い勢いで腕を引かれた。 な、何!? 「紗綾っ!」 息切れしながら私の腕を掴んでいたのは睦月くんだった。 何が起きているのか理解出来なくてポカンとしてしまう。 「……何?」 戸惑いながら首を傾げると睦月くんは一息ついて私の目を見た。 「俺の友達が酷い事言ってごめん」 突然頭を下げられて驚く。 ここは外だ。 近所の人だっている。 私は慌てて睦月くんの手を引っ張って部屋の中に入れた。 ・
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