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思い切って髪の毛を切ってみた。
それに、ずっと眼鏡だったのをコンタクトにしてみたり。
少しでも可愛くなれるように、久しぶりに化粧品を買った。
会社では変わり過ぎて逆に目立ってしまうだろうから化粧もしないし、コンタクトにもする気ないけど……。
せめて睦月くんと一緒にいられる時くらいは可愛くなりたい。
彼の隣に立ってもおかしくないように。
周りの人から認めてもらえるように。
スマホを見ると睦月くんのSNSのアカウントが更新されていた。
友達と楽しそうに写っている睦月くん。
周りの人達は相変わらずキラキラしていて、彼の周りは華やかだ。
でも睦月くんは一人になりたい時もあるって言ってた。
周りが彼を放っておかないのだ。
今日は友達と一緒だから邪魔したくない。
でも、少しでも変わった事を彼に知ってもらいたい。
どんな反応してくれるかな?
呆れるかな?
それとも喜んでくれる?
ドキドキしながら私は不慣れな自撮りをして睦月くんにメッセージを送った。
『睦月くんに相応しい女の子になるように、ちょっとずつ頑張るね』
そう送って私はスマホをテーブルに置いた。
それから私はご飯を作り出した。
今日はちょっと頑張ってご飯作ってみようかな。
自分の事を甘やかしてもいいよね。
これから頑張るって決めたんだから。
ハンバーグとオニオングラタンスープを作ってテーブルに並べる。
料理に夢中になっていてスマホの存在を忘れていた。
スマホに手を伸ばした瞬間、電話がかかってきた。
え、誰?
相手を確認すると、その人は睦月くんだった。
睦月くん?
ドキドキしながら電話にでる。
「もしもし?」
『紗綾、玄関開けて』
「え?なんで……」
『紗綾の家まで来たから』
来た!?
驚いて私は玄関に向かう。
そして開けると睦月くんは私を抱き締めてきた。
玄関が閉まる音を聞いてハッとする。
「睦月くん!?なんで……」
「紗綾が可愛い自撮り送ってくるから我慢できなくて」
「い、いや!可愛いって……っ」
「俺に相応しい女の子って何?紗綾は俺にはもったいないくらいの女の子で、俺の方が頑張って紗綾に相応しい男にならないといけないのに。そんなに頑張られたら、俺はどれだけ頑張らないといけないの?」
睦月くんは息をつくと私の顔を見た。
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