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「なんでそんなに可愛くなっちゃうかな……」
「え?」
「これじゃ、俺以外にも紗綾が可愛いって分かっちゃうじゃん」
睦月くんはそう言うと私の手を握って部屋に入った。
テーブルに置かれた食事を見てから無言で私を見る睦月くん。
これは……。
「食べたいの……?」
そう聞くと睦月くんは無言で頷いた。
本当に、可愛いな。
私はクスッと笑って余分に作っておいたハンバーグとスープを温め直した。
テーブルにもうひとセット用意して睦月くんに促す。
二人でテーブルに座って一緒にご飯を食べる。
そしてご飯を食べ終えて食器を片付けると睦月くんは私に抱き着いた。
「睦月くん?」
「紗綾、これ以上可愛くならないで」
「でも私は睦月くんと並んでいてもおかしくないようにしたくて……」
「何もおかしくないよ。俺が紗綾と一緒にいたいからいるだけって何度も言ってるんだけど」
私が困っていると睦月くんは問答無用で私をソファーに座らせた。
隣に座って私の髪の毛をいじる。
そして息をついた。
「あのね、紗綾。俺は紗綾の容姿がどうとか関係ない。俺は『紗綾自身』が好きなんだから。周りに何を言われても俺は何も思わない。むしろ腹が立つ。恥ずかしいなんて絶対に思ったりしないから」
「睦月くん……」
「俺のために可愛くなろうとしてくれるのは凄く嬉しい。でもそれは紗綾が俺の側から離れないって安心出来るようになってからにしてほしい」
「安心?」
「そう。俺と結婚したらとか」
「結婚!?」
赤くなって驚くと睦月くんは不思議そうな顔をした。
「うん、結婚。当たり前でしょ?俺は紗綾以外と結婚する気ないけど」
こ、これってもはやプロポーズなのでは?
睦月くんは天然で言ってるんだと思うけど。
ドキドキしていると睦月くんは私にキスをした。
「……なんか俺、紗綾の家に来たら絶対に紗綾の事襲ってる気がする」
「えっと……」
「ただヤりたいだけとか思われてない?」
「そ、そんな事思った事ないけど……」
「俺とするの、好き?」
なんて恥ずかしい質問をしてくるんだ。
私は真っ赤になりながら頷いた。
「じゃあ、何も問題ないよね」
噛みつくようにキスをして私の事を押し倒す睦月くん。
睦月くんとキスするの本当に気持ちいい。
頭がぼんやりしてきて、私は睦月くんのされるがままになった。
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