空に浮かぶ夜の花

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梅雨の季節が過ぎ、あっという間に夏真っ盛りになった今日この頃。 私はエアコンの涼しい風を受けながらパソコンと向き合っていた。 学生はもう夏休みに入ったそうで、私の彼氏である睦月くんも毎日のように私の家に来ている。 友達と遊ばないのかと尋ねると、『遊ぶけど紗綾と一緒にいたいから』との答えが返ってきた。 私が仕事に行っている時に遊ぶから何の問題もないって。 毎日私の家に来るし、毎日泊まってから家に帰っている睦月くんに私は昨日提案した。 『もう夏休みの間は私の家にいる?』と。 嬉しそうに頷いて、睦月くんは今日から私の家に夏休み中泊まる事になった。 自分で提案しておいてあれだけど、これって半同棲みたいなものだよね? 睦月くんとは一緒に暮らしたいとは思ってるけど睦月くんはまだ学生だし、そういうのはまだダメなのかもと思って言えていない。 でも夏休みの間だけなら……。 家に帰れば睦月くんがいる。 そう考えるだけで早く帰りたくなるのはどうしてなんだろうか。 「どうしたの?なんか嬉しそうだけど」 隣から声をかけられて振り向くと、茂住くんが笑顔で首を傾げていた。 「茂住くん……。私、そんなに顔に出てた?」 「うん」 頷かれて赤くなる。 仕事中なのに彼氏の事で浮かれてたなんて言えない。 私は茂住くんから目を逸らして口を開いた。 「ちょっと、嬉しい事があって」 「嬉しい事?」 「内緒だから言わないけど」 「何それ、超気になるじゃん」 「気にしなくていいから。それより、茂住くんは今度の会議の資料作り終えたの?」 話題を逸らそうと仕事の話をする。 茂住くんは当然と言わんばかりに頷いた。 「まだ終わってない!やる気起きなくてさー。早めにしとかないと、あとから絶対に泣きを見るって分かってはいるんだけど」 「茂住くんらしいね。私もまだ前回の資料からデータ引っ張ってこれてないけど……」 「どれ?」 茂住くんが近くでパソコンをいじる。 そのあまりにも近い距離にドキッとした。 イケメンはこうやってすぐ近づくから心臓に悪い。 何とも思ってないから出来る事なんだろうけど、恋愛に不慣れな女子からしたら絶対に勘違いする。 「あー、コレ一枚に要約すんの難しくない?」 「やっぱりそうかな……」 「もういっそのことグラフにしちゃえば?」 茂住くんは手慣れた様子でグラフを完成させる。 それからニコッと笑った。 「ほら。簡潔になった」 「ありがとう」 「どうしたしまして」 そんな事を話していると茂住くんが先輩に呼ばれた。 相変わらず人気者だな。 仕事も出来て人もいい。 だから好かれるんだろうな。 そんな事を思いながら私は仕事を進めた。 ・
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