空に浮かぶ夜の花

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仕事を終えて家に帰ると睦月くんが玄関で私を出迎えてくれた。 「睦月くん」 「おかえり、紗綾」 苦しいくらいに抱き締められる。 あぁ……好き……。 「お腹空いてない?遅くなってごめんね。すぐにご飯作るから」 「大丈夫。本当は俺が作っておきたかったんだけど、友達に電話で捕まって出来なくて。役に立たなくてごめん」 「そんな!睦月くんは何もしなくていいよ!」 むしろ私の癒しとして存在してくれるだけでありがたい。 私はカバンを置いて台所で手を洗った。 「夏休みの間は一緒に住むんだから俺に気を遣わないで」 「でも……」 「俺も紗綾と一緒に何かしたい。紗綾が助かるなら何でもするから、何でも言って」 私の隣に立って軽く私の頬にキスをする睦月くん。 今日も王子様全開……っ。 「あ、そういえば。今日友達から聞いたんだけど、隣町で花火大会があるんだって。紗綾も休みの日だし一緒に行かない?」 「え、行きたい」 「じゃあ決まりね。紗綾と花火デート、楽しみ」 睦月くんはふわっと微笑むと私の料理の手伝いをしてくれた。 友達から聞いたって事は、多分友達に誘われたんじゃないかな。 そう思ったけど、多分聞いてもはぐらかされるだけだろう。 私と行きたいって思ってくれて嬉しいな。 もう毎日好きになっていく。 ご飯を作り終えて一緒に食べる。 スマホに新しいメッセージがくるたびに睦月くんは嫌そうな顔をした。 「睦月くん」 「何?」 「どうしてそんな嫌そうな顔をしてるの?友達?」 「友達だけど、さっきから鬱陶しくて」 「え?」 「何度も断ってるのにずっと誘ってくるから」 「……本当に睦月くんは人気者だね。それだけ皆、睦月くんと一緒に遊びたいんだよ。無理して私と一緒にいる必要ないんだよ?私は少しでも睦月くんに会えたらそれだけで嬉しいから」 そう言うと睦月くんは少し怒った顔で私を見た。 「無理?紗綾といるのが?そんな事あるわけないじゃん」 「でも……」 「もう何度も言ってるけど、優先順位は圧倒的に紗綾が一番なの。俺は紗綾と一緒にいれるならなんだってするし、紗綾が寂しいって思う暇ないくらい愛したいの。ていうか俺、本当は高校の時から紗綾と付き合いたかったんだよ?でも紗綾、高校の時って俺に近寄ろうともしてくれなかったし……。嫌われてんのかなってちょっとショック受けてたくらい」 「そ、そうなの……?」 「そうなんです。だから、告白して俺の彼女になってくれるってなった瞬間から俺の中では紗綾を一番に考えるって決めたの。紗綾がいくら友達を優先してって言っても、それが紗綾を傷つける事なら絶対に聞かないって」 睦月くんはふわっと笑った。 睦月くんの気持ちを聞いて恥ずかしくなるけど、とても嬉しくて。 私は小さくお礼を言って赤い顔でご飯を食べた。 ・
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