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女の子はスマホを操作してポケットに仕舞った。
「私、剣田ベル。睦月の大学の友達。ちなみに私はあの馬鹿サークル入ってないから」
「え……」
「睦月に色目使ってる女たちキモイし、睦月の周りにいる友達アピしてる男達もウザいし。あのノリ、嫌いなんだよね」
剣田さんはフッと笑った。
「名前は?」
「あ、えっと……園原、紗綾です……」
「紗綾って呼んでいい?」
「は、はい」
「私の事もベルって呼んでいいから。同じ歳でしょ?」
そう言われて頷く。
すると公園に知らないイケメンがやって来た。
「突然呼び出すなんて何事?ベル。俺超忙しかったんですけど」
「そこらで出会った女と一緒にホテル行くのが?今日は何人と遊んだわけ?」
ベルちゃんの様子から友達だろうか。
だとしたら彼も睦月くんの友達?
そう思っているとイケメンと目が合った。
「え、ベルが知らない女の子と一緒にいる。ちょっと待って、もしかして俺に紹介してくれようと……!?」
「変な事言ったら睦月に殺されるぞ」
「へ?睦月?なんでここで睦月の名前が……」
「だって紗綾、睦月の彼女だし」
そう言うとイケメンが驚愕の顔をした。
それから嬉しそうに私に近寄った。
「ええ!?俺超会いたかったんだけど!!」
「!?」
「俺、久篠深紅!睦月からずっと彼女の事聞いてて会ってみたいって思ってたんだよねー!」
「え、えっと……」
「俺とも仲良くしてくれると嬉しいな、紗綾ちゃん!」
悪意のない笑みを向けられて驚く。
ベルちゃんも久篠くんも、私を睦月くんの彼女だって認めてくれてる。
どうして……。
「どうしたの?紗綾ちゃん」
「わ、私が睦月くんの彼女って聞いて、おかしいって思わないんですか……?」
「なんで?」
「なんでって……」
「睦月が紗綾ちゃんを選んだんでしょ?それを否定するなんて、なんで俺らに出来んの?」
「え……」
「睦月が『可愛い』って言うなら『可愛い』んだよ。だって睦月にとってはそれが事実で嘘じゃないし。俺らが勝手に紗綾ちゃんを外見で判断したり否定したりするのは違うじゃん。それに紗綾ちゃん可愛いし」
「!?」
「あんたは女の子全員可愛いんでしょ」
「女の子は存在してるだけで可愛いんだよ」
久篠くんの言葉に呆れるベルちゃん。
それから久篠くんは私にニコッと笑った。
「もしかして、睦月と喧嘩した?」
「い、いえ……」
「馬鹿サークルのメンバーに会って嫌な事言われたんだって」
「あー、あのサークルかー。音夢ちゃんは可愛いけどお嬢様タイプだし、睦月の事ずっと好き好きアピしてるからなー。我慢出来なくなって睦月の事置いてきちゃったんだ」
頷くと久篠くんが笑った。
「あはは。じゃあ今頃睦月、真っ青になって紗綾ちゃんの事探してるだろうな」
「そんな事……」
「ありえるんだよ、あの紗綾ちゃん馬鹿は。ためしにスマホ見てみなよ」
そう言われてスマホを取り出す。
画面はお知らせで埋まっていた。
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