意地悪なお姫様

4/10

114人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
夜になって、私達は予約していたお店に向かった。 先輩たちは楽しそうに話している。 私は茂住くんと一緒に歩きながら話していた。 「そういえば、園原って彼氏いるの?」 「え!?」 急にそう問われて真っ赤になる。 茂住くんは首を傾げた。 「あれ?ごめん、聞いちゃダメだった?」 「い、いや、そうじゃないけど……」 「そう?」 「ど、どうして急に?」 「ほら、最近髪の毛切ったり、なんか色々気を付けてる感じだったし。入社した時より可愛くなったって先輩たちも言ってたから」 先輩たち、鋭い!! 私は目を泳がせてから頷いた。 「あ、やっぱり!彼氏ってどんな人?」 「どんな……。一言で言うと、顔面国宝」 「イケメンなの?超気になる!写真とかないの?」 「しゃ、写真は撮らないようにしてるの」 「なんで?」 「だって、彼の隣に立って映れる自信ないし……」 「えー?そんなの気にする必要なくない?彼氏なんでしょ?」 「そうなんだけど……」 「うーん、じゃあ彼氏はSNSとかしてないの?」 「それは、してる」 「見せてよー」 茂住くんにお願いされて、根負けした私は睦月くんのSNSを開いた。 茂住くんに見せると茂住くんは目を見開いた。 「うわ、本気で顔面国宝じゃん」 感心したように息を漏らす茂住くん。 それから私にお礼を言った。 「ありがと、見せてくれて。あ、お礼に俺の彼女の写真見る?」 「え?茂住くんって彼女いたの?」 「失礼な!俺だって彼女います!つっても、遠距離なんだけど」 茂住くんはスマホを操作すると私に見せてくれた。 茂住くんと一緒に映る女の子は、素朴でとても好印象な女の子だった。 「可愛い……」 「でしょ?地方の大学行ってるんだけど、超頭いいの!彼女が大学卒業したら結婚するって約束してるんだ」 「そうなんだ」 「俺は親父に迷惑かけたくないし、親父の負担を少しでも減らせるようにって気持ちで就職したからさ、学生の彼女とは時間も都合も合わない事が多いんだ。でも彼女はそれでも俺と付き合ってくれてる。ほんと、優しくていい子だなって」 茂住くんは本当に私と似ている。 学生の恋人がいて、親に迷惑かけたくなくて就職して。 私が茂住くんと違って恵まれているのは、遠距離じゃないって事だ。 いつでも会いたいって思えば会える。 それなのに、私ってばワガママばかり。 茂住くんは会いたくてもすぐに会えないのに、自分に自信ないとか、睦月くんの誘いを断ったり。 考えたら私って嫌な女じゃない? 自己嫌悪に陥っていると茂住くんは首を傾げた。 「どうしたの?」 「ううん、なんでもない」 「そう?」 「茂住くんと彼女さんはいつから付き合ってるの?」 「高校の卒業前かな。ずっと何かと話してたりしてたんだけど……」 そう言って茂住くんは言いにくそうに俯いた。 「彼女、いじめられててさ」 「え……」 ・
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加