意地悪なお姫様

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同じお店にいるのに、こうしてお互いスマホでやり取りしてるって変な感じ。 でも、内緒の話をしてるみたいでドキドキする。 「園原」 茂住くんに話しかけられてハッとする。 茂住くんは険しい顔で睦月くん達を見ると口を開いた。 「園原の彼氏、もしかして仁坂に狙われてる?」 「え?どうして?」 「もしそうなら、絶対に園原危ない」 「え……」 「早めに彼氏、仁坂から引き離した方がいい」 そう言って茂住くんは私を見た。 「園原、彼氏の名前教えて」 「え?なんで……」 「いいから。早く仁坂から引き離さないと、最悪彼氏、あいつにキスでもなんでもされちゃうよ?」 それは凄く嫌だ。 そう思った私は茂住くんに名前を伝えた。 茂住くんはニコッと笑うと立ち上がって睦月くん達の所へ歩いて行く。 先輩たちも何が起きたのか分かっていない状態でポカンとしていた。 私は慌てて睦月くんにメッセージを送った。 『とにかく茂住くんに話合わせて』って。 「あれー?睦月くん、久しぶりじゃない?」 茂住くんは睦月くんに話しかける。 睦月くんはスマホから顔を上げると茂住くんに笑った。 「久しぶり、茂住くん」 「え?何?睦月の知り合い?」 「知り合いもイケメンなんだけど!」 「イケメンの周りにはイケメンが集まるっていう法則?」 睦月くんの友達も彼らが今初めて話したとは気づいてない。 それにしても、茂住くんはどうするつもりなのか。 「俺、あそこで睦月くんの彼女と一緒に飲んでるんだけどさ。睦月くんも久しぶりなんだし一緒にどう?先輩たち面白いよ」 いきなり指をさされて驚く。 睦月くんの友達も私を見て思い出したのか気まずそうにしていた。 ただ一人、仁坂さんを除いて。 「そうだな、そうしよっかな。彼女と一緒にいたいし」 睦月くんは立ち上がると席を離れた。 そんな睦月くんの腕を掴む仁坂さん。 「待って。今日は一緒に飲むって約束じゃん」 「一緒に飲んだだろ。約束破ってないじゃん」 確かにそうだ。 最初に仁坂さん達と一緒に飲んでた。 それに時間制限はない。 仁坂さんは悔しそうにして睦月くんの腕から手を離した。 睦月くんと一緒に戻ってくる茂住くん。 私の隣に睦月くんを座らせると息をついた。 「あー、良かった!とっさに話合わせてくれてありがとう!」 「ううん、俺の方こそありがとう。退屈してたとこだったし、助かった」 睦月くんと茂住くん、二人が並ぶとなんと美しい光景か。 イケメンって、本当に顔面の暴力……。 「え!?園原さんの彼氏やばっ!」 「超イケメンじゃん」 先輩たちが興味津々で睦月くんに詰め寄る。 「茂住より圧倒的イケメン」 「先輩!?ちょっと失礼ですよ!?」 楽しそうな雰囲気に、睦月くんも笑っていた。 それから私を見た。 ・
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