誕生日プレゼント

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睦月くんに似合う女の子になる? なれるわけないじゃん。 思い上がりも甚だしい。 「……せめて美味しいもの食べよう」 涙を乱暴に拭って財布を手に持つ。 そして私は近くのケーキ屋さんへ向かった。 夕方の遅い時間。 当然ケーキ屋さんにケーキなんて残っていなかった。 仕方なくコンビニでケーキを買って、ついでにチキンも購入した。 明日も休みだし、ケーキは明日買いに行こう。 今日はコンビニケーキでお祝いしようかな。 せめて自分だけでも自分をお祝いしてあげたい。 遊ばれててもいいって思ったのは私だ。 だから睦月くんを責めるつもりは一切ない。 忘れて当然で、私なんかの誕生日よりも同窓会の方が100倍大切。 マンションに帰って買ってきたものを口に入れる。 美味しいはずなのに、どうしてか手が一向に進まない。 ……お腹、空かないな。 スマホを手に取る元気もなくて、そのままソファーに身を投げ出す。 「ハッピーバースデー……私……」 今頃睦月くん、楽しく過ごしてるのかな。 同窓会で女の子といい感じになったりするのかも。 そうなったら、別れを告げられるのかな。 あの人は優しいから自分から別れ話とかしてくるかな。 私から言わないとダメかもしれない。 言えないままズルズル私と一緒に居ても睦月くんがしんどいだけだし、何より本命の女の子にも悪い。 私のせいでけんかになるのも嫌だし、そのせいで結婚出来なかったりしたらどうお詫びすればいいのか。 「夢のような時間だったなぁ……」 2年も付き合ってくれた睦月くんって本当に優しいな。 本気で好きって言ってくれたし、私と向き合ってくれたし。 ……全部、嘘だったかもしれないけど。 それでも彼は私に夢を与えてくれた。 倦怠期って、乗り越える事できるのかな。 そのまま目を閉じる。 泣いたせいか、そのまま私は眠りへ落ちた。 ・
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