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「紗綾?」
「ご、ごめんね。嬉しくて……っ」
「受け取ってくれる?」
「はい。もちろん」
嬉しそうに笑ってくれる睦月くんに抱き締められる。
私の左手に指輪をはめてくれた。
「これ用意してて紗綾を傷つけたとか普通に馬鹿だよね、俺」
「そんな!私も変な事言ったりして睦月くんに嫌な思いさせてごめん」
「お互い様って事だね」
「……そうだね」
二人で笑っていると店員さんも笑顔で私達を見てくれていた。
お店を出てから睦月くんと一緒に街をぶらぶらしていると、不意に睦月くんが口を開いた。
「あのさ、その指輪もそうなんだけど、紗綾一緒に住まない?」
「え?」
「俺と紗綾の住んでる場所、近いし。別に一緒に住んでも紗綾が会社行きにくいとか俺が学校行きにくいとかないじゃん。それなら一緒に住んでもいいじゃんって」
「いいの……?」
「夏休みに紗綾と一緒に住めて、俺凄く楽しかったし。これからずっと一緒に居られたらなって思ってたから。ていうか、紗綾の住んでるマンションってオートロックじゃないから心配だったし。俺の住んでるところの方が安全だからそうして」
「うん、ありがとう」
「じゃあ、今から引っ越し準備しよっか」
「今から!?」
「善は急げって言うでしょ?俺は一刻も早く紗綾と一緒に住みたいの」
悪戯に笑って私の手を引っ張る睦月くん。
こういう所、嫌いじゃないから私ってば……。
私はクスクス笑いながら睦月くんに引っ張られるがままに歩いた。
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