狂気のお姫様

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外出許可を取って警察の人に連れられて事故現場やって来た。 側にはお母さんと睦月くん、そしてベルちゃんと深紅くんもいた。 「紗綾、無理しないでね」 お母さんは心配そうにそう言って私の手を握った。 「大丈夫。ちゃんと思い出したいし、頑張る。思い出せないかもしれないけど」 警察の人について行って歩道から道路を見る。 「何か思い出せる事はありますか?どうやって歩いていたか、どうしてここを歩いていたのか、本当に少しの事でいいんです」 どうやって歩いていたか……。 周りを見ても何も思い出せない。 どうしてここを歩いていたのかは睦月くんやベルちゃんや深紅くんが教えてくれたから分かる。 洗剤を買いに行って事故に遭った。 洗剤を買いに……。 何となく歩道を歩いていく。 「紗綾」 私の手を掴んで私を止める睦月くん。 その顔は不思議そうだった。 「大丈夫?何か思い出した?」 「あ……ううん。特に何も思い出せないけど、何となくこの先に行ったら何か思い出せるかもしれないって思って」 そう言うと睦月くんは私の手を握って一緒に歩き出した。 「睦月くん?」 「俺も一緒に行く。もう二度と、紗綾をあんな目に遭わせたくない。あの日だって俺が一緒に行ってれば事故に遭う事もなかったのに。もし警察の人が言ってるように誰かが故意に紗綾を突き飛ばしたのだとしたら、俺は絶対にその人を許せない」 一緒に行っていれば……? その言葉を聞いて頭に心配そうな睦月くんの顔が浮かんだ。 『俺も一緒に行く』 そう言ってくれた睦月くんを、私は止めた。 ベルちゃんや深紅くんを放っておいてはいけないって言って。 そうだ、私は一人でこの場所を歩いて……。 頭が割れるように痛くなって座り込む。 「紗綾!」 思い出しそうで、思い出せない。 凄く頭が痛い。 痛い 気持ち悪い 何も思い出したくない。 車が通り過ぎる音が聞こえる。 目の前が明るくなって…… 体に、凄い衝撃がはしって…… 『お前さえ居なくなれば』 「っ!!」 ああ言ったのは、誰だっただろう。 悪意の籠った目を向けてきたあの人は、誰だった? 顔をあげて最初に目についたのは、向こう側の通りにいる音夢ちゃんだった。 いつものように優しく笑ってくれていない。 睨みつけるようにこっちを見ている。 その目を、私は知っている。 「ああああああっ!!」 頭が痛い。 息が上手く出来ない。 音夢ちゃんは……彼女は私の親友じゃない。 仁坂さんは、私を嫌っていた人だ。 友達ですらない人だ。 睦月くんと別れたいわけない。 私は、睦月くんとずっと一緒にいたいから。 「腕を掴まれて……っ」 「紗綾?」 「車道に投げ出されて……っ」 「!!」 「車が……っ」 「紗綾!!」 ・
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