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次の日。
目を覚ますと隣には睦月くんが寝ていた。
寝顔も綺麗って、この人は凄いな。
睦月くんを起こさないようにベッドから出て服を着る。
結局昨日は一緒にシャワーを浴びて、我慢出来なくなった睦月くんにもう一度襲われて意識を飛ばした。
よく私のようなブスを抱きたくなるな……。
そもそも『好き』って、どうして私なんだろう。
特別な事は何もしていない。
卒業式に告白されて付き合うようになったけど、周りに『彼女の写真見せて』って言われるだろうから絶対に写真撮らないって決めた。
だって、睦月くんの趣味が疑われるだろう。
高校でも友達が多かった睦月くんと、ずっと一人ぼっちだった私。
誰が『付き合ってる』なんて思うの?
私は頭を振ってキッチンへ向かった。
テレビを点けて朝のニュースを聞き流す。
朝ごはんの用意を始めると、テレビから最近話題になっているショッピングモールの話が聞こえてきた。
あ、ここ。
前から行きたかった場所だ。
自分が可愛くない事は分かってる。
でも可愛い洋服を見たりするのはとても好き。
似合わないって分かってるから買わないけど。
今日、行ってみたいな。
でも睦月くん、どうしよう。
今日は1日一緒にいるって約束した。
普通なら『一緒に行こう』って誘うんだろう。
でも、睦月くんの隣を歩く自信が全くない。
周りの目が怖くて、一緒に外を歩くときは基本的に夜が多い。
日中に一緒に歩くなんて、そんなの周りの目が私を見て残念そうにしていくだけだ。
『え?あのイケメン、なんであんなブス連れてんの?』って、睦月くんが馬鹿にされて終わって行く。
そんなの睦月くんに失礼だ。
また今度の休みにでも行こうかな。
ため息をつくと突然後ろから抱き着かれた。
「おはよう、紗綾」
「睦月くん……っ!?」
振り向くと同時に奪われる唇。
睦月くんは満足するまで私にキスをすると少しだけ離れた。
お腹に回された手はそのままだけど。
「何してるの?」
「ご、ご飯作って、ます……」
「いい匂いする」
「味噌汁……」
「紗綾の作った味噌汁、好き」
寝ぼけてフワフワしてる睦月くん、可愛い……っ。
どうしようもなく撫でまわしたくなる衝動を抑えて私は作業に戻る。
「あの……睦月くん?」
「何?」
「ご飯作るからちょっとソファーに行ってもらいたいんだけど……」
「なんで?」
「いや、だって危ないし。怪我したら大変……」
「やだ。紗綾から離れたくない」
首に頭をぐりぐり押し付ける睦月くん。
なんでそんな可愛いの。
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