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「なんでそんな風になったんだよ!お前どうかしてるよ!!」
「別にどうもしてないし。てか、なんであんたはあの日あの場所にいたわけ?私呼んでないよね?」
「コンビニ行った帰りだって!帰ろうとしたらお前が睦月の彼女道路に投げたの見て、信じられない気持ちになったんだよ…っ!!」
この男の子は私を助けてくれたんだ。
仁坂さんの言うことは何でも聞くって睦月くん言ってた。
そんな仁坂さんに逆らってまで私を助けてくれた。
いい人だ……。
「本気でいい加減にしてくれよ!お前ら女子がそうやって睦月に付きまとうから俺ら睦月に避けられてんの!俺らはただ睦月の友達で居たいのに、なんで邪魔するんだよ!」
「そんなの私に関係ないじゃん」
「関係あるから言ってんだろ!?」
ここで喧嘩が始まってしまった。
どうしたらいいのか分からずにただ二人の言い合いを見ている。
すると警察の人達が病室に入ってきた。
固まる二人。
それから男の子は青ざめた。
「お話は聞かせていただきました。そのあとの話は警察署でお聞きいたします」
警察の人が仁坂さんの腕を掴む。
暴れる仁坂さんを強制的に連れて行く人達。
「なんで!?私、悪くない!!あの女が私の睦月くんを奪ったの!!あの女が悪いの!!」
そう言った仁坂さんの大きな声が病院内に響き渡っていた。
残された男の子は呆然と涙を流しながらその場に立ち尽くしていた。
そんな男の子に睦月くんが近づいた。
「ありがとう」
「睦月……」
「二回も紗綾の事助けてくれて。ずっと紗綾に言われてたのに、俺ちゃんと出来てなかった」
「え……」
「『友達は大切にしないとダメだ』って、そう言われてたのに俺ずっと避けて嫌な態度だったよね。ごめん」
「睦月が悪いわけじゃ……」
「俺の態度最悪だったのに、ずっと気にかけてくれてありがとう」
睦月くんの言葉は男の子を泣かせるには充分で、男の子は泣きながら警察の人に連れて行かれた。
彼が逮捕されることはないだろうと刑事さんは言っていた。
事情を知っている人に話を聞きたいそうで、男の子は抵抗せずについて行った。
ホッと息をつくと睦月くんに抱き締められた。
「睦月くん?」
「良かった……、何もされなくて」
「うん、あの人が助けてくれたから」
「俺も警察の人も同時に動いたんだけど、あの刑事さんが『ちょっと待って』って言い出して。そしたらアイツが来てさ」
睦月くんの言葉にかぶさるように刑事さんの声が聞こえた。
「病院内に彼が入って来るのを確認したので、きっと彼女を止めてくれるだろうと思い踏み込むのを止めました。一瞬でも危ない目に遭わせてしまい申し訳ございませんでした」
私達に頭を下げると刑事さんは優しく微笑んだ。
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