学生王子に翻弄される毎日は

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私が店員さんだったら気持ち悪いし通報案件だ。 それも睦月くんは人気ありそうな感じだし。 注文しているお客さん、全然睦月くんと会話終わらないし。 どうしたら……。 「お客様?」 目の前の店員さんが不思議そうに首を傾げる。 私はスマホをポケットに仕舞って店員さんに口を開いた。 「すみません、カフェモカをお願いします」 「かしこまりました、カフェモカですね。お持ち帰りでしょうか?」 「お願いします」 「かしこまりました」 可愛い笑顔でレジを打ってくれる店員さん。 こういったお店で働いている子ってどうして可愛い子とかイケメンが多いんだろう。 お客さんもオシャレな人が多いし。 こういった場所に一人で居る勇気が持てない。 コーヒー受け取って帰ろうかな。 でも睦月くん、スマホなくて困ってると思うし……。 せめて直接渡せればいいんだけど。 俯きながらコーヒーが出来るのを待っていると、私の前にコーヒーが置かれた。 「お待たせいたしました、カフェモカです」 「あ、ありがとうございます……」 受け取ろうと手を伸ばすと、何故かその手を掴まれた。 え!? 驚いて顔を上げると、その人は睦月くんで…… 笑顔ですっごく怒っていた。 な、なんで……!? いや、私が一人で外に出たのが悪いんだけど。 睦月くんの言いつけを破ったのが悪いんだけど。 「何してるの?」 「あの……」 「一人で外出たら危ないって言ったでしょ?なんで約束守ってくれないの?俺の事心配で殺したい?」 「そ、そうじゃないよ……っ。家に睦月くん、スマホ忘れてたから……」 ポケットからスマホを取り出して睦月くんに渡す。 睦月くんはスマホを見てため息をついた。 「置いとけばいいのに」 「でも、困る事もあるし……。何かあっても連絡手段が無かったら大変でしょ?私も睦月くんに連絡取れなかったら困るし……」 「本当に……」 睦月くんは困ったように息をつくと私にカフェモカを渡した。 「俺の勤務時間まだあるし、一人で帰れるならそれが一番いいんだけど……」 「大丈夫だよ、帰れるから」 「でも……」 睦月くんが心配していると他の店員さんが睦月くんの肩を叩いた。 ・
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