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睦月くんが就職してから2年後。
私達は結婚した。
そして私は現在、二人の子供の母親になっていた。
「ママー」
「何?」
「いっしょにあそぼー!」
「あそぼー!」
娘であり、お姉ちゃんでもある綾香が私の手に小さな手を置く。
弟である砂月もお姉ちゃんの真似をして私の手を握った。
「いいよ、ママを仲間に入れてくれてありがとう。綾香も砂月もパパと同じで優しいね」
「ママもやさしいから、あやかママすきー!」
「ぼくも!!」
「私も好きだよ」
二人の頭を撫でると嬉しそうに私に笑顔を向けた。
「そういえば綾香、幼稚園で友達になった男の子、仲良くしてる?」
「んー、パパよりいけめんじゃないからー」
「何言ってるの。友達は顔じゃありません」
「でも、あやかのこと、みんな『かわいい』っていってくれるよー?」
綾香は睦月くんにそっくりで、母親の色眼鏡抜きでも本気で可愛い。
将来は美少女確定だ。
弟の砂月も睦月くんに似ているので可愛い顔立ちをしている。
イケメンに育つだろうな、なんて親ばかな考えが浮かんでしまう。
「綾香が可愛いから皆が友達になってくれるわけじゃないよ。綾香が優しいから、皆友達になってくれるんだよ」
「そうなの?」
「うん。だから絶対に人を傷つけるような人になっちゃダメだからね?誰かが困っていたら助けてあげられるような人に綾香と砂月はなってね」
「うん!あやか、ぜったいにやさしいこ、なるー!」
「なるー!」
綾香はそう言って砂月の手を握った。
「さっちゃんは、ぜったいにあやかがまもるの!」
「ぼくも、ねーね、まもりゅ!」
仲良く二人で笑い合っている。
本当に可愛いな、二人とも。
「パパ、もうすぐ帰ってくるね」
「ほんとだ!おかたづけ!」
「づけ!」
そう言って散乱しているおもちゃを片付け始める二人。
この間片づけをサボって睦月くんに「今度おもちゃを片付けてなかったら、もう何も買ってあげない」と言われたから必死だ。
そんな事を言っても二人に甘々な睦月くんなんだけど。
『俺絶対に結婚させない』なんて言い出したときは困ったものだ。
「ただいま」
睦月くんが帰ってきたと分かったら二人は片づけを中断して睦月くんに向かって走って行った。
私は笑いながら二人のおもちゃを箱に直した。
「おかえりなさい」
「ただいま。徹平から連絡あった?」
「うん。奥さん、もうすぐ二人目出産なんだってね」
「お祝いしないとね」
「そうだね。楓くん、綾香とも砂月とも仲良くしてくれてるし」
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