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楓くんは茂住くんの子供だ。
綾香と同じ歳で同じ幼稚園に通っている。
幼稚園で女の子のハーレムを作っているモテモテの男の子だ。
なんなら綾香も楓くんを気に入っているから大変だ。
『綾香は特別なの!』って言い出したときはどうしようかと思った。
「二人目の子が生まれたらお祝いしようって言っといた。また連絡くれるって」
「そっか。元気な子が生まれるといいね」
「綾香と砂月みたいに」
睦月くんが二人を見ると二人は睦月くんに笑顔を向けた。
「ご飯が炊けたらご飯にしよっか」
ご飯の用意をしていると睦月くんも一緒に手伝ってくれた。
こうやって自然とやってくれるからこの人は凄い。
まさかこのスパダリと私が結婚するなんて、昔の私が聞いたらビックリするだろうな。
「今日仕事場でさ、俺が4歳と2歳の子供の父親だって聞いて新卒の子が驚いてて。新婚だと思ってたって言われた」
「あはは。睦月くん昔から変わらないからね」
「まあ、俺自身も信じられないから。俺って父親なんだーって」
「立派な父親だよ。綾香なんて睦月くん以上のイケメンと結婚するんだって言ってるんだから」
「その辺に沢山いるでしょ。綾香が結婚するって聞いたら倒れそうだけど」
「綾香が幸せになれるなら賛成してあげてね。ていうか、その辺に睦月くんクラスの男の子なんて沢山いません」
いたら驚きだ。
私は困ったように笑った。
こうやって幸せな家族になれたのは睦月くんのおかげだ。
私を見つけてくれたから。
私を選んでくれたから。
「ずっと、私を好きでいてくれてありがとう」
素直にそう言うと睦月くんは驚いたように私を見た。
「どうしたの?そんな当たり前の事。今更お礼言われるような事でもないけど」
「自分に自信が無くて睦月くんから何度も離れようとした私を、呆れずに引き留めてくれたから私は今こうして睦月くんと一緒に居られる。綾香にも砂月にも会えた。睦月くんは私に新しい事を沢山教えてくれる。だからありがたいなって」
テーブルにご飯を置くと睦月くんに手を握られた。
「そんな可愛い事言われたら抱きしめたくなるんだけど。二人が居るからしないけど」
「ふふっ、二人が嫉妬するからね」
「俺はこれから先だってずっと紗綾の事愛してるよ。絶対に離れないから。おじいちゃんおばあちゃんになってもずっと、一緒にいるって約束する」
こうやって嬉しい事を言ってくれるから好きになるのをやめられない。
彼に似合う女の子になりたいってずっと願ってたけど、そんな事はどうだって良かった。
彼が私を選んでくれたらそれでいい。
色々あったけど、こうして今が幸せならそれでいい。
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