春はそこまで

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「捨て。はい、これも捨てっ」 俺の部屋で片付けをする春海さんはテキパキとしていて、男らしい。 「えー、それは取っておきたい」 「あ? どうせこんな服、元カノにもらったもんだろ?」 そして鋭い。 「そ、それは……。えーと……、どこだかのブランドものなんですよぅ」 「お前、こーゆうキャラじゃねぇだろ。ぜんぜん似合ってねぇし」 確かに似合わない、派手な柄のセットアップ。 ナントカっていうダンスユニットのファンだった元カノが、限定発売のこのジャージを、おまけ目当てで購入した。おまけ以外は要らないと、本体を俺にくれたものだ。 部屋着なら別に派手でも構わないし、洗濯を繰り返してもへたらないので結構重宝している。 「す、捨てます?」 「ああ、捨てるね! お前、ホント無神経!」 バシン! と音をたてて後頭部を張られ、その痛さで気が付いた。 「あ……、そうですよね。 すんません……」
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