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口笛を吹きながら、黒豆書店の前を通るのは緊張する。
どうにかおじいさんには気づかれなかった。
どこにいるんだ。ゴザ。
キョロキョロしていたら、ビルの地下店舗へ行くための階段からひょっこり、三角のピンとした耳が見えた。
「ゴザ! こんなところに。おいで」
「んなあうー。んー」
ゴザは甘えた声を出して、僕の足元で八の字を描きながら、頭を押し付けてきた。
「ゴザ、分かったよ分かったから早く、華鈴のとこ行こう?」
ゴザを抱き上げようとしゃがんだ瞬間だった。
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