背中に降る災難

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「私より、彼女さんを」 水を避けた東野さんを睨みつけながら、わなわな震えている様子は異様な光景で。 誰ひとり彼女に声をかけられずにいる。 お店や他のお客さんのためにも、ここは彼女を優先してもらわないと。 化粧室から出てきた人が、席に戻れずに困っているし。 「俺に愚痴ってないで、結婚したければ相手を探せよ。きっとお前と結婚したいってやつがどこかにいるだろうし」 そういうことを言って欲しかったんじゃなくて、とりあえず話し合うために座ってくれさえすればよかったのに。 火に油を注ぐ東野さんにため息が出た。 「わかったわ。お見合いするわよ。止めたって無駄だから」 彼女はそう捨てゼリフを吐いて帰っていった。 .
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