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『今から僕も病院に行くから、君も健太くんを連れてきて。ちゃんと診てあげるから安心して。慌てなくても大丈夫だから』
「はい、よろしくお願いします。あ、でも志穂先生は……」
『こっちは大丈夫だから心配しないで』
志穂先生の優しい声に本当に泣きそうになる。
電話を切って健太の鞄から保険証を取り出し、私の鞄に移す。
「ちーちゃん、麦茶」
「麦茶が飲みたいの。すぐ持ってくるからね」
ひと口だけ麦茶を飲んだ健太を抱きかかえて部屋を出た。
タクシーを呼んでおけばよかった。
そこまで気が回らなくて。
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