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本当にこの人はタイミングよくというか、悪くというかよく現れる。
エレベーターホールの礼二さんと私を、2回見比べてからこちらにやってきた。
言いたいことはわかっている。
「健太が帰ってきたんです」
「早かったな。って寝てるし」
東野さんがぐっすり眠る健太のほっぺを突いても、まったく起きる気配はない。
「昨日私のところに帰りたいって、泣いたらしいくて」
「子供が泣いたって言うのに嬉しそうだな」
「喜んじゃいけないなって思いますけど、私のところに帰りたいって思ってくれるって、ちょっと嬉しいじゃないですか」
「まぁ子供なんてそんなもんだ。俺の甥っ子もうちに泊まるって言ったのに、泣いて夜中に姉貴のところに送っていったことがある。やっぱり母親じゃないとダメなんだろ」
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