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「いや、こちらこそ」
全く今の状況を知らない姉は、上機嫌で捲くし立てる。
礼二さんは少し落ち着いてきたみたいだけど、今度は東野さんが放心状態。
「東野さん、大丈夫ですか? もしかして、ずっと私がシングルマザーだと思ってました?」
「あぁ、健太のパパがときどき会いに来ていたから、ふたりが別れた夫婦だと思っていた。まさか勘違いだったとはな。俺、かっこわりぃ」
恥ずかしさで赤くなった顔を隠すように、手のひらで顔を覆ってそっぽを向いてしまった。
「千尋、ちゃんと健太を預かっているって言わなかったのか」
「引越してきた日に言ったような……」
「聞いてない!」
そこは譲れないらしく、こっちを見ることなく一瞬で否定された。
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