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「ここの御新造は?」
「偶々、実家へ戻られていた様ですな。無事だったと聞いております。跡取りと思しき子供も、無傷で済んでました」
話を聞きつつも、主馬は死体に刻まれた傷に目を落とす。
「四人を殺るには、二~三人は欲しいなァ……」
「私も、そう思います。一人では逃げ出されて、御番所に届け出されますからな」
殺されたのが四人で、居なかった二人を除けば全滅と言える。
そうなると、必然的に人数が絞り込まれると言えよう。
「居ても、五人でしょうかね。中に四人の、見張りが一人」
凡そ盗人と言うのは、どんな凶賊でも掟を守る本格でも必ず見張りを立てるのが当たり前の世界。
そう言う意味では、裏稼業の殺し屋を営む主馬達や中村主水も見張りを立てている。
無論、目撃かれば何の関わりも無い通行人だろうが消すのが掟。
「でしょうかねェ。米沢、おろくの転がッてた位置は?」
「どれも寝室の辺りですな。凡そ、布団の上から芋刺しにしてます。いづれも一太刀で心の臓を貫いてました」
心臓を貫くと言うのは、先ず難しい。
普通に握って突くと、刃が上向きか下向きで突き出されるからだ。
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