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「はあっ……はあっ……」
早由香は、その場にへたりこんだ。
「おやおや~……貴女、ゲルグさんを燃やしてしまったのですかァ?」
「えっ……あっ!?」
先ほどの仮面の男が、早由香の後ろから現れた。
「貴女には、ワタシの“お客様”をおもてなしして下さいとお伝えしたはずですが、やってしまいましたねェ……」
仮面をつけているので、表情は窺えないが、ジロリと睨んでいる雰囲気が伝わってくる。
「っ!?……で、でも、あのままだったら、私は奴隷みたいにされていました!!せ、正当防衛です!!」
早由香は必死に弁明する。すると、
「そうですねェ。ま、確かに彼はやり過ぎていましたし、自業自得ということで処理しちゃいましょう」
「……えっ?」
仮面の男の思いがけない言葉に、早由香は目をパチクリさせた。
「実はゲルグさん、上顧客だったんですが悪質なクレーマーでもありましてねェ。そろそろ関係を断ち切りたいと思っていたんですよォ。いや~、早由香さんのおかげで助かりました。さすが、ワタシの見込んだ女性です♪」
「は、はあ……」
仮面の男は早由香の両手をつかみ、ブンブンと嬉しそうに振った。
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