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「私は……店主さんのことは、いい人だと思います……で、でも……何度も店主さんの所には行っていますが……世間話くらいしかしたことがないですし……その……好きだと言われても……正直、戸惑っていて……」
両手をギュッと握りしめ、ぽつりぽつりと話す早由香。その間、レスターは口を挟むことなく、彼女の言葉に耳を傾けた。
「そ、それなので……も、もし、告白されたとしたら……“まずはお友達から”と答えます。その……どんな人なのかを、少しずつ知ることから、関係を深めて行ければ……という感じでしょうか……」
そこまで言って、早由香は両手で顔を隠して俯いた。
「お願いです……もう許して下さい……これ以上は、恥ずかしいです……」
耳まで真っ赤にして小声で言う早由香を見て、
「……その言葉を聞いたら、“彼”はさぞ喜ぶでしょうねェ」
まるで自分のことのように感慨深そうに言うレスター。
「早由香さん、ありがとうございましたァ。以上で終わりにします。もとの世界に戻してあげますよォ」
「本当ですか?」
「はァい。ワタシが早由香さんにしてもらいたいことは、全て終わりましたので」
「あ、ありがとうございます!」
早由香は心の底から安堵した。やっと、もとの世界に帰れる。
「では、こちらにどォぞ」
「は、はい……きゃっ!」
レスターが差し出した手を取り、立ち上がろうとした早由香だったが、緊張が緩んだためか、彼の手を掴んだまま、ベッドに尻餅をついてしまった。それに引きずられるように、レスターもベッドの上に倒れこむ。
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