顧客その2:吸精悪魔ショタ キュム

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 早由香が扉を開けると、そこは遊具や砂場などがある広場だった。 「ここは……公園なのでしょうか?」  先ほどまでの洞窟とは一変して、現代的な空間に驚く早由香。 「わあ~、キレイなお姉ちゃんだ」 「えっ?」  どこからか声はしたが、姿が見えない。 「上だよ、お姉ちゃん」  その言葉に反応して、早由香が上を見上げると、そこには黒のパーカーと黒の半ズボンを着た童顔の少年が宙に浮いていた。  長い前髪が目元を完全に覆い隠していて、表情までは窺えない。よく見ると、背中に黒くて小さな悪魔の翼が生えていた。 「あ、貴方は?」 「ボク、キュムっていうんだ。よろしくね」  キュムと名乗った子どもは、早由香の目線の高さまで降りてきて、ニコーっと歯を見せて笑った。 (この子が、次の“お客様”でしょうか?) 「ねえ、お姉ちゃん。ボクのこと、こわい?」 「えっ?」 「ボク、“あくま”なんだよ。こわいでしょ~?」 「えっと……」  キュムは、早由香の半分くらいの背丈だ。外見的には、幼稚園児がハロウィンのコスプレをしているようにしか見えない。  早由香が微妙な反応をしていると、 「なーんだ。ちっともこわがってくれないのか。ボクはお姉ちゃんみてると、ドキドキするのに」 「ええっ?ど、どうしてですか?」 「だってお姉ちゃんは、みこさんでしょ?みこさんとか、シスターとかって、あくまにとっては、こわいそんざいだもん」 「あ、いえ……こういう格好をしているだけで、私は巫女では……」 「そうなの?スゴくにあってるから、ほんものかとおもった」 (やはりこの格好だと、誤解されますよね……)  ゲルグの時と同じようなやり取りに、早由香は人知れずため息をついた。 「やっぱりドキドキしちゃうな……とってもおいしそうだし」  最後にボソッと気になるセリフを言うキュム。 「えっ?何が言いましたか?」 「ううん、なんでもないよ。それよりお姉ちゃん、ボクとあそんでよ」
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