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「うう~っ……もう、頭に来ました!!」
早由香はくすぐったさに耐えながら、自分の大腿の間で悦に入っているキュムの手をつかんで引っ張り出す。
そう。今さらだが、キュムはゲルグとは違い、つかむことができる身体だ。
「さあっ、捕まえましたよ!!」
「あ~あ、つかまっちゃった。って、なーんちゃって」
ところが、早由香がつかんだのは、
「これは……人形?……きゃっ!?」
いつの間にか、キュムが早由香の肩にしがみついていたのだ。
「さっきグリグリしてたときに、すりかえておいたんだ。つかまったのは、お姉ちゃんだよ」
「い、いや、放して下さい!」
早由香はキュムを引き離そうとするが、しがみついている力は思った以上に強い。
「うわあ……お姉ちゃん、スゴくいいにおいがするね」
早由香の長く艶のある黒髪に鼻を近づけ、心地よい顔をするキュム。さらに彼女の髪をかき分けると、色白の首筋が見えた。
「やっぱり、とってもおいしそう」
急に低い声になるキュムに、早由香はただならぬ気配を感じ、ゾッとした。
「な、何を言って………?」
「いただきまーす♪」
キュムは早由香の首筋にかぷっと吸いついた。
「ふあっ!?」
そして、チュウチュウと音をたてて吸い始めると、強烈な脱力感が早由香の身体を蝕んでいく。
(な、なに……身体から……力が抜けて……)
「あっ……そんな……吸わないで……下さい……」
「ぷはーっ」
ひとしきり吸った後、キュムは早由香から離れる。
「な……何をしたんですか……?」
「お姉ちゃんの“せいき”をすったんだ」
「精気って……うっ……」
急に貧血になったような感覚を覚え、早由香は額を押さえた。
「えへへ、お姉ちゃんのせいき、スゴくおいしいね」
口もとを手で拭い、ニヤリと笑うキュム。
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