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「いったでしょ、お姉ちゃん。ボクは“あくま”だって。ボクは、ひとのせいきをすっていきる“吸精鬼”なんだ」
「吸精鬼……?」
「みこさんやシスターは、あくまを“浄化”させちゃうこわいそんざいだけど、せいきはふつうのひとよりもずーっと、おいしいんだ。お姉ちゃんのせいきは、みこさんクラスのおいしさだよ」
得意気に解説をするキュム。
「ねえ、お姉ちゃん。どうしてボクがいつもひとりぼっちだか、わかる?」
「ど、どうしてですか……?」
「ボクがこうやって、みんなのせいきをすいつくしちゃうから。だから、みーんないなくなっちゃうんだ」
キュムは砂場を指さす。
「あのすなは、“ひとだったもの”。ボクがせいきをすいつくしたら、みんなああなっちゃうんだよ」
「そ、そんな……」
彼の言葉に早由香は愕然とした。そんな彼女を愉快そうに眺めながら、キュムは彼女の右の大腿にしがみつく。
「お姉ちゃんのここもおいしそうだよね。もうすこしすってもいい?」
「やっ……やめて……」
早由香は逃げようとするが、精気を吸われたせいか手足に力が入らず、動くことができない。
「イヤだ。お姉ちゃんがわるいんだよ。ぜんしんから、いいにおいをさせてるんだから。やっぱりボク、ガマンできない」
“かぷっ”
「はあんっ!!」
彼女の右足の絶対領域の部分に吸いつき、同じように精気を吸い始めた。
「あ、ああぁ……ぁぁぁ……」
(くうっ……足がピリピリするような感じが……痺れて……感覚が……)
「ぷわぁーっ」
「っ!!……くうっ……」
キュムが口を離すと、今度は早由香の右足の感覚が完全になくなってしまった。
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