顧客その2:吸精悪魔ショタ キュム

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「……こ、これでいいですか?」  結局、なし崩し的にキュムを抱くことになってしまった早由香。まだ頭がふらつき、足も痺れた感覚が残っているので、上半身を壁に寄りかからせた状態で抱きしめている。 「……………」  先ほどから、キュムは黙って早由香の胸に顔をうずめている。 (何か……黙っていられると、それはそれで落ち着きませんね……) 「……やさしいね、お姉ちゃん」 「えっ?」 「ボクをさっきみたいに、ちからまかせじゃなくて、そっとだきしめてくれてる」 「そ、それは……」  本当は精気を吸われて力が入らなくなっているだけなのだが、キュムはそれに気づいていない様子だ。 「うっ……!?」 「た、だいじょうぶ、お姉ちゃん?」 「ちょっと、頭がクラっとして……」 「……ボクが、せいきをすいすぎちゃったからだ。ちょっとまってて」  キュムが抱いてもらったまま、早由香の身体に手をあてて、意識を集中させると、淡い光が彼女を包み込んだ。 「どう?」 「えっ……あ、はい。楽になりました」  めまいも足の痺れもすっかり取れ、早由香の顔色も良くなった。 「よかった……さっき、お姉ちゃんからとったせいきを、ぜんぶかえしたんだ」 「あ、ありがとうございます……」  しかし、ここで早由香は疑問に思った。 「でも……どうして私の精気を全て返してくれたのですか?」  もし、自分をただ生かしておくだけなら、奪った精気を全て返す必要はないはずだ。にも関わらず、キュムは早由香に精気を全返却した。 「このままだと、お姉ちゃんがしんじゃうとおもって……しんじゃったら、ボク、こまるんだ。だって……」 「だって?」 「……ボク、お姉ちゃんのこと、すきになっちゃったから」 「え、ええええっ!?」  彼がぼそぼそと呟いた言葉に、早由香は思わず大声を出してしまった。
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