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何者かに足をつかまれ、地面に引きずり込まれた早由香は、異空間を経て、先ほどまでの所から、別の場所へと投げ出された。
「きゃっ!?……痛たた」
着地の際、思いっきり尻餅をついてしまった早由香は、痛さに顔をしかめながら、辺りを見渡す。
そこは薄暗い大広間だった。
「今度は……どこかの舘の中……でしょうか?」
その時、大広間の扉から、ズルッズルッと何かが動く音がした。
「だ、誰ですか……?」
音のした方を向くと、扉が開き、何者かが姿を現した。
「っ!?」
目の前に現れた生物を見て、早由香は息を飲んだ。
膝辺りまで伸びた、長くウェーブがかった緑色の髪、緑色の瞳、緑色の肌、細身の身体で緑のドレスを着た、文字通り緑ずくしの女性が立っていた。
人形のように整った顔立ちで、早由香と同じくらいの年齢に見える。
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