顧客その4:異世界の支配人 レスター

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 それから暫くの間、レスターは早由香の大腿を枕にしたまま、何をするでも、何を言うでもなく、ただ横になっていた。 (……寝ては、いませんよね?)  いい人とは言えないが、凶悪な人でもないのかも……と、彼のことを判断した早由香は、意を決してレスターに言うことにした。 「……あの、そろそろ、もとの世界に戻して頂けませんか?この後の予定もありますし……それに、店主さんも心配していると思うんです」  ところが、横になっていたレスターから返ってきた言葉は、意外なセリフだった。 「……もう少しくらい待たせても、“彼”なら平気だと思いますよォ」 「えっ……店主さんのこと、知っているのですか?」 「はァい。ワタシは“彼”のことも、よォく知っているんです……ずっと前からねェ」  さらにレスターは、早由香の想像を遥かに越えたことを口にした。 「“彼”……貴女のことが大好きなんですよォ」 「っ!?と、突然、何を言い出すんですか!?」  早由香の頬がこれまでにないくらい、赤く染まった。  レスターは、やおら立ち上がり、彼女に背を向けて後ろで手を組み、まるで昔話でも語るように話し始める。
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