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「“彼”は、早由香さんの全てに惹かれたそうです。綺麗さの中にも可愛さのあるお顔も、長くて艶やかな黒髪も、色白でキメ細やかな肌も、均整のとれたお身体も……そしてその外見に違わず、とても清楚で礼儀正しい性格も……“彼”は、早由香さんを最高の女性だと思っているそうです」
流れるように話すレスターとは対照的に、早由香は彼の言葉に、さらに顔を赤くする。
「早由香さんは“彼”のことを、どう思います?」
「ど、どうって……いきなりそんなことを言われても……」
思いがけない展開についていけず、早由香は頭を抱えてしまった。
そもそも彼女が異性に告白されたのは、先ほどのキュムの一件を含めても二回目。ただ、キュムの場合はさしずめ、幼稚園児が保育士の先生に告白するような形であり、カウントされるかどうかは微妙であるため、実際には、これが初めて告白されたと言っていいだろう。
その上、相手が自分の知っている人ということもあり、早由香の心はパニック状態だった。
「もし“彼”が早由香さんに告白したら、どうしますかァ?」
「ま、待って下さい!!まだ、気持ちの整理がついていないんです!!」
にも関わらず、すぐに返事を求める質問をするレスターに、早由香は思わず大声を出してしまった。
「……す、すみません。取り乱しました」
「……いえ、こちらも失礼なことを致しました。今の質問は、忘れて下さい」
「……あ、あの!……今、頭の中を整理しています……少し待って下さい」
別に店主本人ではなく、第三者から質問をされているので、無理に答える必要はないのだが、生真面目な彼女はレスターの問いに必死になって答えようとした。
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