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「……早由香ちゃん?」
「歯を食いしばって下さい」
「へっ!?」
“バチンッ!!”
渾身の力を込めて、早由香は店主の顔に平手打ちをした。勢いで床に倒れる店主。
「……もう二度と、こんな真似はしないと誓いますか?」
「も、もちろん!!」
店主は彼女に向き直り、コクコクと頷く。それを見た早由香は、大きくため息を吐いた。
「……分かりました。私も店主さんのことは、嫌いになりたくありませんから……これで、終わりにします」
「……こ、これで許してくれるのかい?」
ヒリヒリと痛む頬を押さえながら、店主は情けない声を出す。
「許すも何も、これで手打ちにするしかないじゃないですか。これ以上のことをしても、私の気分が悪くなるだけです」
早由香は、ずいっと店主に詰め寄る。
「さあ、早くもとの世界に戻して下さい」
「わ、分かりました……」
店主はすっかり怯えた様子で頷き、落ちていた仮面を拾って、上にかざす。
その瞬間、最初に早由香が本を広げたときと同じような凄まじい光が、仮面から放たれ、二人を包み込んだ。
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