8人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、光が消えると、早由香と店主は、もとの世界の本屋へと戻っていた。二人の衣装も、異世界に行く前の状態に戻っている。
「……早由香ちゃん、待ってて」
店主は店の床に落ちていた、今回の騒動の原因となった本を拾い、店の奥に行く。そしてシュレッダーを持ってくると、本のページを破いていき、次々とシュレッダーにかけていった。
「……本当にごめん」
最後のページを処分してから、改めて店主は早由香の前で頭を下げた。
「……ところで、店主さん」
不意に明るい声を出した早由香に、店主はビクッと身体を震わせた。
「私が“最高の女性”と仰いましたよね?では、店主さんはこれから先、他の女性には浮気したりしませんよね?“最高の女性”が目の前にいるんですから」
「さ、早由香ちゃん、何を言い出すの!?」
「まさか、あんなずるい方法で告白をして、私の返事を聞き出しておいて、つき合わないなんて言いませんよね?」
「い、良いの!?あんなことをした俺なんだよ!?」
「だからです。こんなふしだらなことを考える方を放っておいたら、何をするか分かったものではありません。さ、今から一緒に出かけましょう」
「え、え、えっ!?」
思いがけない展開に、店主は頭の整理が追いつかない。
最初のコメントを投稿しよう!